コピーされたオリジナルの実在性

あなたの書いたコードの著作権はあなたが持つことになる。しかしこの場合、あなたはどんなものに対する著作権を持っていることになるのだろう。

画面のエディタの中のコード?そんなものは、プロセッサとメモリとVGAが作り出す仮想のものでしかない。いや、そんな仮想のものを映し出すディスプレイの電磁波(光)でしかない。

ハードディスク(or SSD)の中?いや、あなたはハードディスクの中の磁気という形でコードを表現したのではないはず。例えハードディスクの中に著作物があると仮定しても、それを確認するためには、ハードディスクを忙しく動くヘッドを介してのゼロとイチの世界を経由しなければならない。

しかし、そんなどこにあるのかさえよくわからないあなたのコードは、簡単に世界中を飛び回る。いや、正確にはあなたのコードのコピーが飛び回る。

コードをインターネットで公開するには、コードのコピーをWebサーバに置かなければならない。全世界からアクセスされるたびに、あなたのコードはWebサーバ内のメモリにコピーされ、Webサーバからサーバにつながったルータへコピーされ、さらにその次のルータへコピーされ、場合によってはHTTP Proxyにコピーされ、また時には鳥キャリアのラベルにコピーされ、そのようなことを繰り返してアクセスした人のパソコンへとコピーされる。

適当なコードを適当な場所からダウンロードするときに、裏ではこれだけたくさんのコピーが行われているのが今のインターネットの姿だ。もちろん、それらすべてのコピーは、オリジナルと全く同じゼロとイチの列である。これだけたくさんのコピーがあれば、万が一あなたがあなたのハードディスクの中からあなたのコードを失ったとしても、簡単にオリジナルと同じゼロとイチの列を手に入れることができるだろう。いや、手に入れたとすると、それはもはやオリジナルなのかコピーなのかすら区別することができなくなるだろう。

「たとえ巨大なプログラムの一部であったとしても、おまえの書いたコードが全世界の何十万何百万という数の端末の中で動いているんだ。想像してみろ、すごいだろう?」「いや、オレの書いたコードは、この前壊れたハードディスクの中ですよ。」

・・・というようなことを、ニコ動にアップロードしたものより高音質なものを自分のサイトで公開しているボカロのオリジナル曲の作家を見ながら、妄想してみた。高音質とはいえ、マスタリングして非可逆圧縮した時点でもはやオリジナルではあるまい。というか、オリジナルってなによと。

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このページは、らるるが2009年3月11日 01:54に書いたブログ記事です。

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