2017年7月アーカイブ

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LinuxとSolarisを対象に、システムの性能のボトルネックをどのように分析して探し出しそして改善していくかをテーマにした本。SunにてSolarisベースのシステムの性能改善を長年手がけてきた著者が、長年の経験をもとに体系建てたやり方をまとめつつ、具体例を交えながら、システム全体の性能分析をしたりその難しさを語ったりしている。

本のタイトルには出てないけど、これUNIXの本ですね。オペレーティングシステムの本とでもいった方がいいのかもしれない。もちろんこの本は性能分析と改善が最終目的だけど、それに取り組むためにはOSの知識が不可欠で、その部分の解説に本の半分以上が費やされてると思う。私がOSの教科書的な知識を体系立てて学んだのが*年前なので、その時から現在までの差分を学ぶという意味では興味深かった。

よくあるOSの本と異なるのは、「ファイルシステム」「クラウドコンピューティング」の章が作られている点かなぁ。後者の仮想化は確かに最近注目されてていろいろ技術開発もされているので注目されるのはまだわかりやすい。けど前者のファイルシステムは、たしかにそこに昔から存在するんだけど、あまりディスクと区別して語られることが多くはない、なのにバッファキャッシュに絡んで性能に大きく影響することが多い。そんなところにスポットを当てて解説している本はあまり多くない。

難癖をつけるとすると、やはり、SolarisとDTraceですね。真の意味でOSを理解しようと思うと、複数の異なる実際に使われているOSを比較しながら理解するのがもちろんいいんだけど、現実は、(特にエンタープライズ以外は)Linux一色といってもよいような世界だし、そういう意味で「Solarisの解説の部分イラネ」と思いながら読んでる人は多いと思う。同様に、性能分析ツールのDtraceも、Linuxでは今はSystemTapやperf(結局ftraceだけど)が主流なので、「Dtraceの解説の部分イラネ」と思いながら読んでる人は多いと思う。というわけで、SolarisとDTraceを省き、また冗長に書かれてる章立ても省いて、で本の厚さを1/3くらいにすれば、もっと万人にオススメしやすいとっつきやすい本になったんじゃないかと思う。

とはいえ、現代UNIX的なOSを解説する本はなかなかないので、そういう意味では貴重な本。OSと真剣に向かい合いたい人にはオススメ。逆に、コンピュータの体系だった知識が求められるので、OSやハードから遠いような初心者には辛いと思う。

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