2009年3月アーカイブ

コピーされたオリジナルの実在性

あなたの書いたコードの著作権はあなたが持つことになる。しかしこの場合、あなたはどんなものに対する著作権を持っていることになるのだろう。

画面のエディタの中のコード?そんなものは、プロセッサとメモリとVGAが作り出す仮想のものでしかない。いや、そんな仮想のものを映し出すディスプレイの電磁波(光)でしかない。

ハードディスク(or SSD)の中?いや、あなたはハードディスクの中の磁気という形でコードを表現したのではないはず。例えハードディスクの中に著作物があると仮定しても、それを確認するためには、ハードディスクを忙しく動くヘッドを介してのゼロとイチの世界を経由しなければならない。

しかし、そんなどこにあるのかさえよくわからないあなたのコードは、簡単に世界中を飛び回る。いや、正確にはあなたのコードのコピーが飛び回る。

コードをインターネットで公開するには、コードのコピーをWebサーバに置かなければならない。全世界からアクセスされるたびに、あなたのコードはWebサーバ内のメモリにコピーされ、Webサーバからサーバにつながったルータへコピーされ、さらにその次のルータへコピーされ、場合によってはHTTP Proxyにコピーされ、また時には鳥キャリアのラベルにコピーされ、そのようなことを繰り返してアクセスした人のパソコンへとコピーされる。

適当なコードを適当な場所からダウンロードするときに、裏ではこれだけたくさんのコピーが行われているのが今のインターネットの姿だ。もちろん、それらすべてのコピーは、オリジナルと全く同じゼロとイチの列である。これだけたくさんのコピーがあれば、万が一あなたがあなたのハードディスクの中からあなたのコードを失ったとしても、簡単にオリジナルと同じゼロとイチの列を手に入れることができるだろう。いや、手に入れたとすると、それはもはやオリジナルなのかコピーなのかすら区別することができなくなるだろう。

「たとえ巨大なプログラムの一部であったとしても、おまえの書いたコードが全世界の何十万何百万という数の端末の中で動いているんだ。想像してみろ、すごいだろう?」「いや、オレの書いたコードは、この前壊れたハードディスクの中ですよ。」

・・・というようなことを、ニコ動にアップロードしたものより高音質なものを自分のサイトで公開しているボカロのオリジナル曲の作家を見ながら、妄想してみた。高音質とはいえ、マスタリングして非可逆圧縮した時点でもはやオリジナルではあるまい。というか、オリジナルってなによと。

どうもサーバが不調だ

rarul.comのサーバに使ってるマシンを入れ替えてそろそろ10ヶ月になるけど、どうもこのマシン調子が悪い。平均すると1ヶ月半に1回くらい、急に動かなくなってくれる。ハングっぽい。ログ見る限り一度も何も残ってないので、たぶんハード的ななんかなのかなぁと思ってる。(ちなみに、もくもくとサーバダウン履歴を残してるページがあったりする。)

怪しいことと言えば、ケースについてきた電源を180WのACアダプタに載せ替えたことと、電圧制御するようkernel入れ替えたことくらいなんだけどなぁ。・・・どう見てもやり過ぎだな。

電圧制御は一時期元に戻してて、それでもダメだったので、やっぱり電源か?180Wあれば余裕の構成のつもりだったんだけど、こうなると疑わざるを得ない。

ということで、さっき電源元に戻して見た。これで2ヶ月ほど様子見ることにする。1ヶ月半に1回くらいしかおかしくならないので、これで問題なくなったのかどうかの確認もめんどい。

Vocarhythm買った

公式サイトはこっち「Vocarhythm - ヴォーカリズム feat. 初音ミク」全曲試聴可能。

全部VOCALOID系オリジナル曲としては超有名でかつ作者がWeb上で無料公開している。マスタリンスし直して音質上がってる曲もあるけど、そこだけのためにわざわざ2000円出して買う価値があるのかどうかは正直微妙なところ。

それよりも個人的には今のところ、「たくさんの無名Pが毎日のようにアップロードした新曲オリジナル曲を、自分を含め多くの人が楽しんで聞いているというこの状況を、どうすれば少しでも長く続くようにすることができるのだろうか」に対する一つの答えが、気に入ったものがあれば少しでもいいから金落とせ、ということなのかなぁと思ってる。他人に笑われようが、後から自分自身で振り返って恥ずかしくなろうが、今がよければそれでいいや。

この辺にニコ動への個別作品のリンクあり。

著作権がらみの最近気になるニュース

「マジコン」輸入販売の差し止め裁判、任天堂らが勝訴
マジコン販売禁止 → マジコン使用禁止、コンテンツアップロード禁止 → コンテンツダウンロード禁止、という具合に話が動いていくのかどうかが気がかり。ネットでダウンロードしてタダで遊べるとか思ってるやつは(ゲーム販売ビジネスを阻害しているから)しねばいいと思うけど、音楽・動画再生機能やらいわゆるチートプレイの用途にはどうなんだろうなぁ。

ただ、ユーザはできるだけ何でもできるように中を解析したいと思い、開発者はできるだけ裏機能や契約に関わる部分を隠すため中の構造を解析されたくないと思い、これらは根本に関わる話なので、基本的には今回と似たような構図はずっと続くんだろうなぁ。

「JASRACの包括契約は独禁法違反」公取委が排除措置命令
「カスラックざまぁ」とかいってるやつはほっとくとして、これ結構難しい問題だよなぁ。

例えるなら、IEがくっついたWindowsで、Windowsは事実上選ばざるを得ない状況で、でIEはなくてもよくて、でIEなしのWindowsは売ってなくてIE込みの価格のWindowsを買わざるを得なくて、でIEとWindowsを分けろといったところで利用者自身がそもそもIEを使っているのかどうかわからない状況で、で利用者がネスケを使いたいと思った場合ネスケを買わないといけなくて、でネスケ買うくらいならIEでいいやと思ってしまう。っていうたとえはどうよ? でもMSと違い、JASRACはIE使っていないと断言してくれたら価格は個別交渉してくれるから、またちょっと違うなぁ。

今回は放送事業の包括契約についてですが、放送事業に限らずJASRACのシェアは高いので、他の事業にも影響していくかも。

これ、本当に放送事業での包括契約をしちゃダメとなると、現実的には短期的に結構放送局は混乱するような。。

Googleブック検索、米裁判の和解が日本の著作権者にも影響]
「絶版または市販されていない書籍」が対象なので、ものすごく影響範囲が大きい。しかも、「名乗りでなかったら勝手にやっちゃうのでよろしく」といってるので、逆に反発する人多いだろうなぁ。

どうせ利益の出てないところなので和解に参加した方が利益還元されていいんじゃないの?という考え方もある。ただ、「著作権保護期間内の書籍の使用により得た全収益の63%を権利者に支払うことなどが決められている」っていうのが、現実的には今はスキャン内容を見た利用者に配信された広告の分の収入の63%ということになると思われるので、それってものすごく少ないんじゃないの?となる。あとから何かをやろうとしたときに、この安さが足かせになるかもしれない、と警戒するするのもムリはないだろうなぁ。

なら和解内容の履行は更新制にしてあとから変更できるようにしとけばいいんじゃないという考えも出てくるけど、一度始めちゃったものに対して一人の利権者からの"No"の声をどれだけ大企業Google様が聞いてくれるかもわかったもんじゃない。

しかもこれ、和解がアメリカ国内だけでの使用のみに影響し、日本で「Google Book Search」を使う人は恩恵を受けないため、ますますややこしいんだよなぁ。

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