2014年4月アーカイブ

音楽業界でライタをする著者が音楽の文脈で「初音ミク」現象が現在(2013年末)までどう流れてきたかをまとめた本。「20年おきにおとずれるサード・サマー・オブ・ラブだ」とか一見突き放したような序論を書いておきながら、実際の中身は取材などをかなり行った上での裏付けをもって、時代の流れを追って解説している。

同人文化やバーチャルアイドルの側面はできるだけ排除して書いた、と最後の方にあるんだけど、個人的にはあんまりそういう印象はなかった。むしろ、2010年頃にはいくつかあった「初音ミクブームって何なの?」という漠然とした問いに答えてくれる2014年時点での最新の本という気がする。個人的には少々文体や章・段落の展開に違和感を覚えるけど、内容そのものについては十分につめ込まれていると思う。

特に、複数人のインタビューの内容を引用しながら、それぞれの人の立ち位置での話を書いているのはよかった。JOYSOUNDの「うたスキ」のユーザ投票でボカロ曲が急増した頃(2008-2009年頃)のJOYSOUND側の立ち位置はあまり知らなかったんで、JASRACに部分信託できるようになるまでの流れは参考になった。

「初音ミクブームって何なの?」に問いに答えてくれる本を期待しているなら買って間違いはないでしょう。以下は個人的に印象に残った箇所をいくつか。

初音ミク保護者のような立場になった自分は何をすべきか?(第5章p138)
「うちの娘をどこぞの若造には渡さん」みたいなとこが「ミクの父」と言われるゆえんなのかなぁ。


知らないタイトルが沢山並んでいた。『これは誰だ?』という状況ですね。(第7章p175)
ボカロ曲JOYSOUND配信の話、当時私自身は「特にアピールするわけでもなくだからといって配信しないわけでもない、なんか黙々とやってるなぁ」という印象だったけど、最初のほうはまさに黙々とやってたっぽいです。そのかいあって曲数では「ボカロ曲歌うならJOYSOUND」は今や決定的ですね。


よく知らないマスメディアとかが面白おかしく取り上げることもあっただろうし(終章p266)
ああ、TBS「アッコにおまかせ」のことですね、ってすぐにわかってしまうあたりもアレです。


『最近、数値がいいんですよ』と言う。『ミクで曲を作るようになってから、ずいぶん身体の調子がいいんですよね』(終章p276)
ついに「健康のためにミク始めました」な時代に。まぁさすがに著者もねらって書いたんでしょうけど。


とか感想書いてると、kz氏の曲が「ニセコイ」アニメで流れてら。「未確認で進行形」アニメではJunky氏の曲が流れてたりなど、2007-2008年ごろから見守ってきた私みたいな老害からすればホントどこまできたんだろうと感慨深いです。

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