「システムはなぜダウンするのか」読んだ

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勘定系などの大規模システムでのシステム障害がどのように引き起こされるのかを、技術的な深掘りをしつつ、実名は伏せつつも実例を数多く紹介して解説している本。日経コンピュータ監修とあるあたり、結構本当のことを書いてくれてんだなぁと思われるくらいには具体的な話となっている。

読み物としてはおもしろいんだけど、技術者が読む本としてはどーなんかなぁという仕上がりです。「技術的な観点でまとめた」とは書いてますが、結構当たり前な技術用語の解説から入ったりしている箇所も多いという感じで。とはいえ全くのIT素人を相手にしているという感じの内容でもない。実務経験がほとんどない情報系の大学生か、技術の中身については必ずしも詳しいわけではないIT系会社の管理職か、あたりが対象という感じかなぁ。どうも実例の紹介の書き方が某IPA試験の問題を彷彿されるようなものでなんか気にくわない(ぉ

で、確かに技術的な話を出しつつ障害の原因別にまとめて紹介はしてるんだけど、それに対して具体的にどうしろこうしろというわけでもなく、平たく言えば「テストしっかりしよう」といってるに過ぎないのもなぁというとこです。まぁ解決策を考えるための本でもないのでそこまで求めるのも酷かな。むしろこの本としては、障害を減らす努力は絶えず行うべきだけどどうしても起こってしまうんだよなぁどうしようもないよなぁ、的なノリですね。私が特に気にするソフトバグの原因については、まぁありがちな話のオンパレードという感じですね。とはいえその基本が大事なんですけどね。

あとは、謝辞に出てくる企業名が「富士通」「日立製作所」「日本オラクル」「日本ニューレット・パッカード」「NEC」「日本IBM」となっているあたりに、本書の対象がそういう勘定系に偏ってるのが伺えます。そのためか、実名を伏せていても「ああ例の株の誤発注か」とわかってしまう例が多いのもなんだか。そいや誤発注をキャンセルできないというバグのせいで損害が広がったとして民事裁判まだやってんのよねぇあれ。額が額なだけに、技術的な話だけ切り離して考えるのも難しくて、どうしても責任問題もあわせて気になってしまいがち。

というわけで、読み物程度として読むにはよいですが、ここから何かを教訓として得たいという用途にはあまり向かないかぁなというとこです。

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このページは、らるるが2013年8月19日 06:16に書いたブログ記事です。

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