「Winnyの技術」を読んだ

買ったのは1年前だったような気がするけど、今読み終わった。最近少し騒がれることが少なくなった気のするWinnyですが、そのWinnyの作者が書いた本です。

ピュア型P2Pで大規模ネットワークのもとでも耐えうる(=実用的にファイル共有できる)ソフトウェアを作る上で、苦労した点工夫した点失敗した点を述べているという感じの本でしょう。ソフトウェアのコンセプトと、実装する上で工夫した点がわかりやすく述べられています。このあたりは、多少はプログラムを書いたことのある人の方が理解しやすいかもしれないです。

ただ、「P2Pの技術本」かといわれると、ちょっとうーんと思いたくなる点もあります。作者は学者分野の助手ではありますが、ネットワーク・P2Pが専門だったわけではないためか、学術的視点から見るとそこまで目新しいことが書かれているわけではないという印象が残ります。例えば、本書の中で「第1世代」「第2世代」「第3世代」という呼び方が出ますが、この名付け方が妥当なのかどうかは、この本を読んだだけでは何ともいえないです。

いずれにしても、大規模ネットワークを作れ、ピュア型P2Pであり、「交換」の概念がない分散ファイル共有システムで、かつ実用レベルで使えるアプリケーションを、(構想期間がどの程度かはわかりませんが)ほぼ1年の間で完成させたという事実とそのアプリケーションが何十万人もの間で実際に使われたという点で、その作者が書いた本としては意義があるでしょう。

まぁwinny.infoを見たことのある人には、ほとんどが既知の情報かもしれませんが。

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このページは、らるるが2007年5月 2日 18:03に書いたブログ記事です。

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