次期Pentium4として開発されてきたTejasは中止になるようです。Intelとしては、ここ数年なかったほどの大きな計画中止になるハズ。以下はらるるんなりの解説。
時代はPentiumIIIのころ、セールス的にも世間的にも「クロック速度=CPUの処理能力」というクロック主義が取られてました。実際は他の多くの要素で決まるわけですが、Intelは「クロックが高い=処理速度が高い」というある意味わかりやすい戦略をとってきました。
しかしここで問題が。技術的にPentiumIIIベースでクロック速度を上げるのが難しくなってきました。クロック主義に基づくと、より高いクロックのCPUを出し続けなければIntelは儲からないことになります。クロック以外のところでがんばってCPU処理能力を上げたとしても、クロック主義を突き通してきたIntelには困るわけです。そこで、Pentium4ではNetBurstという方法をとりました。
NetBurstでは、簡単に言うとクロック速度をより上げやすいCPU設計としました。おかげで処理速度は実はあまりあがってないのにクロック速度は上げられることになり、Intelとしてはある意味これで安泰でした。Pentium4は1.4GHzから始まり、2004年4月現在3.4GHzまで来てます。しかし、ここで技術的問題だけでなく熱処理問題も出てきます。
単純にいえばクロック速度が上がればその分発熱します。PentiumIII 1GHzは30W程度だったのが、最近では100Wを超えてます。単純に「熱い」だけで済まずに熱が問題でPCがダウンすることも珍しくなくなってきました。最近出回り始めたPrescottのPentium4では、電力供給あたりの改良をしたLGA755ソケット(ボードとCPUくっつけるとこ)でさらにクロック速度を上げたバージョンを予定。ちまたじゃコレヤバイな声が多くいわれてました。
で、Prescottをより改良(プロセス微細化)したバージョンとして予定されてたのが、最初に取り上げたTejasです。つまり、Tejas中止は今までのNetBurst・Pentium4方式じゃダメであることを認めたようなもので、クロック主義をついにやめる宣言でもあるわけです。じゃ、今出回ってるPrescott・もうすぐ出てくる予定のLGA755ソケットなPrescottってどうなるの?という話もありますですが。
Intelは現在、ノートPC向けに消費電力を押さえること優先で開発したPentiumM(Baniasの方が一般的?)を持ってます。で、Pentium4と違いクロック速度はそんなに高くない、けど実はPenium4に匹敵するくらいの処理能力を持ってる、てなわけです。これまではクロック速度=処理能力で突き通してきたのが、PentiumMの登場でそうはいかなくなってしまいました。そこでCPUに仮想的数字を振ってその数字で処理能力を表してしまおうというモデルナンバー制を採用することが決まってます。
これ、当初はPentiumMがPentium4とクロック速度で比較されてアメリカではPentiumMが売れないという状況を打開するためのマーケティング上の戦略とかいわれてきましたが、実はこのTejas中止が関わっていたのかも。Intelは元々、今のPentiumMベースのCPUを将来デスクトップPCにも採用する予定だったけど、これを前倒ししTejasを中止する流れにしたのではとも推測できるわけです。そのために今の時期にモデルナンバー導入と。
PentiumMベースのデスクトップCPUなら、さすがにPentium4の名前にはならないだろう。ついに、クロック速度の割に処理能力が低いといわれ続けたPentium4の終わりが見えてきたというわけです。デスクトップPCのCPUは、AMD/Athlonが主流になってしまうのも時間の問題?
らるるの説明じゃいい加減なところもあるので、より詳しい情報は自分で調べてみてください(を) キーワード: Willamette, NorthWood, Prescott, Tejas, Banias, Dothan, Yonah, Merom